男はつらいよ(48)
   くれない
寅次郎紅の花
    
 1995年  日本  松竹

 (112分) コピーガード仕様

 Hi−Fiモノラル  ビスタサイズ

 ビデオリリース日:1996年8月21日

 監督:山田洋次                                                            
 出演:渥美清倍賞千恵子浅丘ルリ子吉岡秀隆後藤久美子/前田吟/三崎千
    恵子/下條正巳/太宰久雄/佐藤蛾次郎/関敬六/夏木マリ/田中邦衛/神
    戸浩/桜井センリ/犬塚弘/宮川大助/宮川花子/他          
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【物語】
 秋のお彼岸も過ぎたある日、”くるま菓子舗”の一家は、テレビ番組「阪神大震災
・ボランティア元年」を見とると、そこに、正月過ぎに神戸から家にお土産を送って
来て以来音沙汰が無く、震災に遭遇して死んだんじゃ〜ないかと、皆で心配しとった
寅さん(渥美)の元気な姿を見つけ、ホッとする。               
 そんな折、名古屋に住む泉(後藤)が突然上京して来て、母親(夏木)に勧められ
て見合いをした、と満男(吉岡)に打ち明ける。                
 相手は岡山県津山市の医者の卵とかで、話を聞いた満男はうろたえ、心にも無く、
泉にその男との結婚を勧め、祝福してしまう。                 
 満男の冷たい言葉を聞いた泉は、津山に嫁ぐ事を決める。           
 泉への愛の深さを改めて認識し、結婚を勧めた事を後悔した満男は、会社を無断欠
勤し、泉の結婚式当日、津山に行き、花嫁姿の泉を乗せたハイヤーを妨害し、式を中
止に追い込む。                               
 警察に突き出され、自分のした行為に責任を感じた満男は、そのままあての無い旅
にフラリと出てしまい、辿り着いたところは奄美大島じゃった。         
 島に住むリリー(浅丘)が、連絡船の中で様子のおかしい満男に声をかけ、自殺を
するんじゃ〜ないかと心配し家に連れ帰る。                  
 満男は、丁度リリーの家に居候を決め込んどった寅さんと、バッタリ再会する。 
 寅さんとリリーは、満男のした結婚妨害行為について、正反対の意見を言う。  
 結婚が破談になった泉は東京の諏訪家を訪れ、さくら(倍賞)から満男の行方を聞
き、満男を訪ねて奄美大島までやって来る。                  
 そして泉に「何故あんな事をしたの?」と、つめ寄られた満男は・・・     
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《独断感想・エトセト欄》
 1996年8月4日、転移性肺がんで亡くなった、渥美清(68)の遺作となったこ
の映画は、寅さん映画の決定版じゃ。                       
 実に良い!! もう最高!!                        
 いつ完結しても良いような作りになっとり、次につなげる含みも持たせながらも、
大体の先が読めるような内容にして有るんで、これで終わっても全然おかしくないよ
うな構成じゃ。                               
 また、寅さんと満男のふたつの恋をからめて、大人と若者の恋愛の違いをうまく表
現して有る。                                
 この辺は、山田洋次監督の脚本のうまさじゃね〜。              
 カメラが前作までの高羽哲夫の逝去に伴い長沼六男に代わったが、奄美の風景の綺
麗さや、シネスコの横長画面を左右一杯に使ったアングルも良く、多少の変化は感じ
られるものの違和感は全然無い。                       
 主演の渥美清の声の張りは、前作「男はつらいよ(47)拝啓車寅次郎様」あたりか
ら極端に落ちとり、今回も寅さんの威勢と歯切れの良い啖呵売の声は聞けんし、動き
もユッタリとしとる。                            
 寅さんの出演シーンが短く、座ってのセリフが多く、どっちかとゆ〜と満男のエピ
ソードの方に、より多くの時間を割かれとり、ちょっと淋しい気もするが、今から考
えると、よほど体調が悪いのを無理しとったんじゃね〜?            
 倍賞千恵子の目尻のシワの深さも目につくようなり、これじゃ〜兄を心配するどこ
ろか、夫や自分の健康をまず心配せんといけん歳になり、これまでの様なパターンを
続ける訳には行かんので、この辺で終わりになったのも自然な成り行きか?    
 リリー役の浅丘ルリ子も同じで、いかにメークを塗りたくろうとシワの深さは埋め
ようも無くケバさばかりが目立つが、これは逆にリリーとゆ〜女をうまく体現化しと
る訳で、寅さんには上品な女性より、ちょっと崩れた感じの、こんな女が似合うとゆ
〜事じゃね〜。                               
 吉岡秀隆は、ますます演技が磨かれ、満男を実に自然な感じで演じとる。    
 テレビドラマ「北の国から」の演技もそうじゃが、暗い雰囲気を表現するのが抜群
にうまい。                                 
 じゃが、吉岡は映画やテレビもほとんど出演せんので、あまりお目にかかれんのは
ちょっと淋しいね〜。                            
 演技力が有るんで、もっともっと映画やテレビで活躍して欲しいもんじゃ。   
 後藤久美子は相変わらずの一本調子のセリフ回しで、こんなシリーズ映画の演技達
者ばかりの中では浮いた感じになっとるが、美人じゃけ〜おじさん許す!!    
 (はいっ、ベッピンには滅法甘いんです、わし・・・)            
 ところで、これまで毎回、さくらがゲンちゃん(佐藤)に、「御前様はお元気?」
とたずねるセリフが有ったが、今回はついに無かった。             
 話題になった、阪神大震災のニュース映像と寅さんのCG合成は、ほんの数十秒じ
ゃが違和感も無く、うまく出来とった。                    
 寅さんとリリーとは過去「男はつらいよ(11)寅次郎忘れな草」(1973)、「男は
つらいよ(15)寅次郎相合い傘」(1975)、「男はつらいよ[25]寅次郎ハイビスカス
の花」(1980)で会っとり、その都度寅さんとリリーは結婚寸前まで行ったが、今回
は??                                   
 それは観てのお楽しみ・・・                        
 まだ寅さんが一度も行った事の無かった高知県が、次回作「男はつらいよ(49)寅
次郎花遍路(仮題)」の舞台になる予定じゃったが、渥美清の急逝により、寅さんは
とうとう高知県へ行く事は無くなった。                    
 撮影誘致に力を入れとった高知の人は残念じゃろ〜が、こればっかしはしょうがな
いね〜?                                  
 何にしても皆さん、こんな楽しい寅さん映画を、是非、ご覧下しゃ〜。     
 そして、亡き渥美清の寅さんを堪能して下しゃ〜。              
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