まあだだよ
    
 1993年  日本  大映

 (135分)

 Hi−Fiステレオ  ドルビーサラウンド  ビスタサイズ

 ビデオリリース日:1993年11月26日

 監督:黒澤 明                              
 出演:松村達雄香川京子/井川比佐志/所ジョージ/油井昌由樹/寺尾聰/板東
    英二/吉岡秀隆/他                         
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【物語】
 夏目漱石の門下生じゃった内田百間(松村)は、昭和18年、30年勤めた大学を
辞め、随筆家として本格的な活動を始める。                  
 彼の大学時代の昔の教え子の高山(井川)や甘木(所)らは、内田の家によく遊び
に来た。                                  
 高山達は、内田の奇想天外な発想に驚かされ続け、そんな内田をいつまでも先生と
呼んで慕った。                               
 太平洋戦争が激化し、空襲で内田の家は焼けてしまう。            
 内田の知り合いの公爵家も全焼するが、そこの庭の片隅に有った3帖一間の小屋が
焼け残っとり、その小屋を借りて内田は妻(香川)と二人で住む。        
 戦争も終わり、高山達は”摩阿陀会”とゆ〜同窓会のよ〜な物を作り、内田の昔の
教え子を一同に集めて内田の還暦祝いをする。                 
 それ以後、内田の誕生日が”摩阿陀会”の年一回の例会日となる。       
 やがて高山達や出版社の援助で、小さいながらも一軒家を持つ。        
 そこにフラリとやって来た雄のトラ猫を、内田は”ノラ”と名づけて可愛がるが、
内田が九州へ講演旅行をして帰った日、ノラが居らんよ〜になっとる事を知り、内田
は必死でノラを探すが見つからん。                      
 食事も喉を通らず、あれほど好きじゃった酒も飲まず、泣き暮らす内田を見て、高
山達は手分けしてノラを探し廻る・・・                    
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《独断感想・エトセト欄》
 (内田百間の”間”は本当は”門の中に月”なんじゃが、JISに無い字なんで、
とりあえず”間”とゆ〜字を充てとります。)                 
 黒澤監督の記念すべき第30作目で、前作「八月の狂詩曲(ラプソディー)」(1
991年/松竹)もその前の「夢」(1990年/ワーナー・ブラザース)から1年
ほどしか間がなく、これも含め、ほとんど連続的とゆ〜てえ〜位に3本の映画を作っ
てしも〜たとは、82歳(製作当時)とは思えんパワーで、ほんまに驚いてしまうね
〜?                                    
 この映画は、「夢」や「八月の狂詩曲」とはまた違った趣の映画で、最近の黒澤監
督の作品の中でも特に心優しい、暖かさに溢れた作品になっとる。        
 全編を通して実に淡々と内田百間のエピソードを描いとるだけの映画で、とり立て
てこれとゆ〜盛り上がりもほとんど無く、スラ〜〜ッと終わってしまう。     
 わしは黒澤明監督のファンなんで、一気に最後まで観てしも〜たが、そうで無い人
にはあまりに地味な為、ちょっと辛いかもね〜?                
 映画に一人も悪人が出て来んのも、作意を感じて抵抗が有るかもしれんが、逆に言
うとそのお陰で、黒澤監督の内田百間への思い入れが伝わって来る。       
 随筆家内田百間とゆ〜人は、子供のよ〜な心を持ち続けた人のよ〜で、それが画面
から大変良く感じられる。                          
 そんな純真な心を持った内田を慕って、昔の教え子達がいつまも先生、先生と家に
集まって来るし、内田が何もせんでも、昔の教え子達が損得勘定を一切無視して、内
田に代わってどんどん色んな事をしてくれたりするのは、内田の「人徳」とゆ〜もん
じゃ。                                   
 今の時代、こんな「人徳」を持つ人がどの位居るんか知らんが、いつまでも人生の
良いお手本として尊敬され続ける人は少ないじゃろ〜ね〜?           
 主演の松村達雄は、名脇役じゃが、この映画では主人公の内田百間を好演しとる。
 以前、衛星放送でこの映画のメイキングが放送されたが、そこでは黒澤明監督に松
村達雄が相当シゴかれとる様子がとらえられとった。              
 じゃが、そのお陰で、松村はえ〜雰囲気を醸し出しとる。           
 内田百間の妻役の香川京子はさすがベテラン女優だけあって、亭主に従う古いタイ
プの女とゆ〜地味な役なんじゃが、存在感の有る上手い演技で魅せてくれるで〜。 
 所ジョージは、地のまんまで気楽な演技で、よ〜あんなんで黒澤監督がOKしたの
〜と思える軽いセリフ回しは、演技達者の多いこの映画の中では浮いて感じられる。
 黒澤明監督のたっての所望で出演したよ〜じゃが、これはあえてこんな軽い感じを
監督が求めたんじゃろ〜ね〜?                        
 映画が重くなるのを、所の軽い演技が救っとる。               
 しかし、黒澤映画お得意の、望遠レンズ撮影+パン(全)フォーカス(手前も背景
も全部にピントが合っとる)+長回し(1カットの時間が長い)で、出演者の気苦労
は大変じゃったろ〜ね〜?                          
 戦後の焼け跡の町並みのセットは良く出来とるが、原色が好きな監督らしく、画面
の色合いが「どですかでん」(1970年/東宝)を彷彿させるのはご愛嬌じゃ。 
 時間の割に大作とゆ〜雰囲気は無いんで、気楽な感じで観て下しゃ〜。     
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