うた
ロレンツォのオイル/命の詩
LORENZO'S OIL
    
 1992年  米  ユニヴァーサル

 (142分)  内予告7分

 Hi−Fiステレオ  ドルビーサラウンド

 ビデオリリース日:1993年10月22日

 監督:ジョージ・ミラー                          
 出演:ニック・ノルティスーザン・サランドン/ピーター・ユスチノフ/ザック
    ・オマリー・グリーンバーグ/他                   
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【物語】
 ワシントンの国際銀行に勤める、オーグスト・オドネー(ノルティ)の5歳になる
息子ロレンツォが突如凶暴な行動を始め、不審に思った妻のミケーラ(サランドン)
がロレンツォを病院で診察してもらうと、副腎白質ジストロフィーの一種のALDと
ゆ〜病気にかかっとる事が判る。                       
 この病気は、母方からの遺伝で5才〜10才の男子しか、かからん先天性の代謝異
常で、脂肪酸の新陳代謝をする能力が下がり、脳に脂肪酸が溜まり脳を犯し、最初ヒ
ステリーで凶暴になり、次に身体の自由がきかなくなり、麻痺→難聴→言語障害→発
狂→昏睡→死亡となり、余命は数カ月から2年以内と宣告される。        
 治療法が発見されとらず、夫婦はなんとかロレンツォを救おうと、ALD治療をし
とる医者を探してまわる。                          
 脂肪酸を患者に与えんよ〜にする、食事療法を行う医者を見つけ、医師の指示に従
ったメニューで、食事療法を続けるが一向にロレンツォの体内脂肪酸は下がらんかっ
た。                                    
 ボストンの病院で、免疫抑制の化学治療も受けるが、薬品投与の副作用で、毛髪は
抜け、身体の麻痺は進行するばかり。                     
 自宅治療に切替え、看護婦を雇い、ミケーラと妹ディードレと3人で、ロレンツォ
を24時間看病する事になる。                        
 ALD患者で構成するALD基金に参加し、患者家族の会に出席すると、そこでは
患者の治療法についてのディスカッションは無く、家族の苦労を話し合って日頃の家
族のストレスを発散させる慰めあいの場じゃった為、ロレンツォの治療に何の役にも
立たんと、オドネー夫妻はガッカリ。                     
 医者にだけ任しておったんじゃ〜、時間が無いと、オドネー夫妻は病理研究所に通
い、ALDについて猛勉強を始める。                     
 そして多数の文献の中から、脂肪酸を抑制する動物実験報告を見つける。    
 それにはオイルから抽出する特殊な酸を使用しとり、その酸を製造しとる製油会社
はアメリカには無かった。                          
 世界中の製油会社にあたり、英国でやっと製造しとるところを見つけ、試供品を入
手して、ロレンツォに与え続けると、脂肪酸の数値が半分には減りはするが、どうし
ても半分以下に数値は下がらんかった。                    
 自分達だけの力の限界を悟った夫妻は、世界中のALD治療情報を集める為、国際
ALDシンポジウムを開催しようと考え、実行に移す・・・           
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《独断感想・エトセト欄》
 ヒューマン・ドラマで、現在も治療が続いとる少年の実話じゃ。        
 ジョージ・ミラー監督はアクション映画が得意な監督じゃが、この映画は難病と闘
う人を描いとるんで、当然アクションシーンは全然無いが、グイグイ引きつけて、最
後まで目が離せんので、2時間20分がアッとゆ〜間じゃ。           
 父親役のニック・ノルティは、自然体の演技で、地味なインテリ役を好演しとる。
 息子の看病を自責の念から、偏執狂的に行う母親をスーザン・サランドンが、彼女
独特の目の表情で、鬼気迫る熱演をしとる。                  
 しかし、この映画、子役は病気の演技で大変じゃったろ〜ね〜?        
 実際、この映画の主人公になった実在の少年の、生への執着心と粘り強さには、ほ
んまにすごさを感じる。                           

 映画では、夫妻の努力で植物油から抽出されたエルカ酸オイルを投与すると、AL
D患者の脂肪酸の数値がゼロになるところまで描かれとる。           
 しかし、数値がゼロになっても、一度犯された脳が元に戻る訳では無く、症状が進
行した患者には延命の効果しかない。                     
 つまりロレンツォは現在も生きて治療を続けとるが、以前のよ〜な身体には戻っと
らん。                                   
 ALDの早期発見患者は、病状が進行して脂肪酸が脳を犯す前に、このエルカ酸オ
イルが脂肪酸をゼロにするんで、効果は絶大じゃ。               
 エンドクレジットで各国の少年が、病気治癒の礼を言うカットが有り、このオイル
がいかに重要や役割を果たしとるか一目瞭然となる。              
 最初この映画化に難色を示したとゆ〜、オドネー夫妻の努力に対し、心からの声援
を贈りたい。                                
 実際に治療の最前線で活躍されとる、ドン・サダビー博士が実名で登場して、映画
にリアリティを加えとるのも見どころじゃ。                  

 この映画を見る前は、医学や薬学の知識のない素人の患者の家族が、いかに子供の
治療の為とはいえ、執念だけで難病の治療薬を見つけられるはずがないと思ったもん
じゃが、映画を見ると、確かに、医者は認められとる治療法についての知識は有るか
もしれんが、実験的な治療には消極的で、自分が先陣を切るよ〜な治療は、失敗した
時のリスクを考えたら率先してまで、せんとゆ〜事が理解出来る。        
 しかも、医者は患者全員を対象にした治療方法を考えるが、患者の家族は、自分の
子供一人についてのみ重点的に治療を考えたらえ〜訳で、万一の事が有っても、それ
は、こ〜ゆ〜ちゃ〜問題が有るかもしれんが、家族の悲しみだけで済むんで、可能性
が有る事は全部試してみるとゆ〜、医者に出来ん方法が採れるもんね〜。     
 それにしても、患者の家族の負担はすごい。                 
 唾液が気管に入ってもそれを吐きだす力が無い為、つねに唾液をバキュームせんと
いけんので、付添いは24時間体制でそれが何カ月も続き、心身共に疲れ果てる。 
 母親は息子の病気が自分からの遺伝じゃとの負い目からか、病的なほど子供の看病
に尽力し、それを心配する看護婦や妹の声を、不親切な人間としてとらえて、看護婦
を首にしたり、妹と喧嘩別れをしたりと、通常では考えられん状態になって行く。 
 こうゆ〜事は、心情的によく分かる。                    
 じゃが、一番しんどいのはやはり患者で、気管に入った唾液でむせるシーン等は、
ほんまに辛いじゃろ〜と、見るに忍びない。                  
 子供に病気に耐える力を与えるのは、やはり親の深い愛情じゃの〜と、つくづく思
った。                                   
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