監督:神山征二郎
出演:仲代達矢/若村麻由美/田中実/永野典勝/渡辺美佐子/石野真子/田村高
廣/山本圭/他
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【物語】
太平洋戦争末期の昭和20年5月。
敗色濃い日本軍は、それでも奇跡の神風が吹くのを期待して、連日、沖縄沖の米軍
艦船に、飛行機での体当たり”特攻”攻撃を行っとった。
佐賀県鳥栖市のある小学校に、当時その近辺には無いグランドピアノが有り、音楽
教師の吉岡公子(若村)は、ピアノを空襲から命がけで守る役目じゃった。
そんな時、元音楽学校の生徒じゃった二人の若い特攻隊員が来校し、今生の名残に
ピアノを弾かせてくれと申し出る。
教員や児童の集まった音楽室で、そこに唯一有った楽譜のベートーベンのピアノ・
ソナタ「月光の曲」を、一人が見事なピアノ演奏する。
遠くの特攻基地から短い外出許可時間の間に、徒歩で来校した二人は、帰隊する時
間の関係で、もう一人は弾く時間が無く、軍歌「海ゆかば」の演奏のみになった。
二人の特攻隊員は、教員や児童に見送られ、何度も振り返りながら手を振って帰っ
て行き、名前も知らん二人のその後の消息は公子には判らんかった。
戦後40年以上経過した時、既に教職を退職した公子は、久しぶりに小学校に行く
と、グランドピアノが老朽化し、近く破棄処分される事を知る。
そこで、特攻隊員との思い出を語ってピアノの保存運動を始めると、マスコミが取
り上げてくれ、報道で話を聞いた人からさまざまな反響が寄せられ、修復費用のカン
パも集まる。
ピアノを弾いた二人の特攻隊員探しも同時に行われ、やがて、当時二人の居った基
地に、同じ頃居ったと思われる、特攻隊員の生き残りの一人の老人(仲代)が熊本に
居る事が判明する。
しかし、マスコミの取材にその老人は「そんな二人は知らん」と答え、公子の話は
ピアノを保存する為のつくり話じゃ〜?との心ない声も聞こえてくるようになる。
特攻に失敗した者は福岡の特攻指揮本部に送られ、そこで何かが有ったらしいが、
老人は福岡での出来事を口にしようとせんかった・・・
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《独断感想・エトセト欄》
戦争実話で、グッと来る。
1995年は戦後50周年とゆ〜事で、「ひめゆりの塔」(1995年/東宝/監
督:神山征二郎/出演:沢口靖子/後藤久美子/永島敏行/他)や「きけ、わだつみ
の声」(1995年/東映/監督:出目昌伸/出演:織田裕二/的場浩司/鶴田真由
/他)等の戦争映画が公開され、相次いビデオ・リリースされた。
この映画は、1993年6月に公開され、2年以上経ってやっとビデオ・リリース
された映画じゃが、同じ太平洋戦争末期の青春群像を扱った「ひめゆりの塔」や「き
け、わだつみの声」も全部観たが、この映画が一番感動した。
神山征二郎監督は、現在(とゆ〜ても7年ほど前)と戦争中の出来事を上手にクロ
スオーバーさせ、判り易い展開で、特攻とゆ〜今までその実態を良く知らんかった、
非人道的手段を描いとる。
”特攻の心得”を読むシーンなど、誰がこんな物を作ったか知らんが、”突入の瞬
間”にはこ〜しろとか、まるで自分がやったみたいな事を、やりもせん人間が平気で
書いた文を、またそれを当然のように特攻隊員が暗唱したりして、実に不愉快な気分
になる。
また、特攻に出撃し、エンジン・トラブルなどでやむを得ず引き返した隊員への、
軍の仕打ちの酷さなども良く判る。
仲代達矢は、特攻に失敗した生き残り隊員の悲劇を、地味ながら存在感の有る演技
で巧演しとるのは、相変わらず演技達者で、さすがじゃ。
戦争そのものも狂気じゃが、特攻作戦を遂行した当時の日本軍の尋常外れた神経を
、今さらながらに、こんな軍の体質じゃ〜負けるのは当然と思え、戦争の悲惨さを改
めて認識させてくれる。
平和の尊さも併せて考えさせてくれる心打つ反戦映画として、皆さんにお薦めしま
すんで、是非ご家族でご覧下さい。
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